Pre-Warって何?

NYに来てはじめにしなければいけないのがアパート探しではないだろう。アパートの募集要項を見てるとまず目につくのが「Pre-War」と「Post-war」の表記である。これはずばり第二次世界大戦を前か後を示す表記で、ほぼ必ずビルの詳細要項として示されている。 

これが非常に重要で、戦争前に建てられた建物かその後かで全く住み心地が変わってくる。私の最初のアパートはPre-warで1920年に設立された。私がアパート探している条件として、家賃ももちろんだが、エレベーターが絶対条件だった。これは日本とNYを行き来するため、思い荷物を階段で5階や6階まで登れないのが初めから分かっていたからだ。私の部屋は5階に位置していた。 

また、このエレベーターだが、よく壊れる。動かないのだ。旅行する日に限ってこれが壊れたりする。下りだからまだよしとして、これが上りだったら大変だ。また、このような古い建物の中には洗濯機はないので、近くのランドロマットという、共有のコインランドリーに行かなくてはならない。この点だけが唯一東京暮らしよりダウングレードした生活ということになる。これがまた想像を超える丸一日かかる面倒な仕事の一つになった。 

このPre-warに建てられた建物は暖房システムとしてスチームを使用している。先日たまたまビルのオーナー用のスチームヒートのセミナーがあったので行ってみた。以前のアパートもスチームを使用していて、冬なのに暑すぎる。各部屋での調整がきかずに暑いか寒いのどちらかしかない。どうしようもないので、よく窓を開け、冬なのに中は半袖でなんとエネルギーの無駄遣いをしているのかといつも思っていた。
この疑問がこのセミナーですべて解決された。スチームが採用される前の暖房手段としては以前は暖炉だった。日本でも囲炉裏ということになるだろう。このセミナーの趣旨はすでにビルに組み込まれているスチームを最大限活用し、節約をしようという政府のプログラムの一環だった。
素人が考えると、全部ガスか何かに取り替えてしまえばいいじゃないかとも思うが、莫大なコストがかかりすぎる。ビルのオーナーは利益をだしたいので、到底その選択肢は視野に考えてない。
単純に考えてスチームは気圧が高ければ5階建て建物全体に暖房がいきわたると思われがちだが、効率よくスチームの性質を利用して全体を均一に温めるには気圧を下げることだそうだ。また、空気穴をあけることにより、これがまんべんなくいきわたるそうだ。なるほど。今回の政策はこの空気穴を作り、バルブを設置することによって各部屋で温度調節ができるようにし、節約を図ろうということだった。何ともローコストかつ明晰な考え方だ。NYCで節約に関するアドバイス(Energy Efficiency)をビルのオーナーに無料で行っている。また、ビルの管理人にはトレーニング(有料)で行っている。
このPre-warはこの冬の暑さに耐えられれれば(?!)、昔なつかしい感じのするとてもおしゃれなレンガ造りの建物で、ニューヨーカー気分を十分味わえる。 

NaokoのNY暮らし

NY、マンハッタンでReal Estate Agentとして活躍中。NY生活の発見をお送りします。Instaも見てね。https://www.instagram.com/naoko_ichijima/

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