騒音

New Yorkで生活しているといつも付きまとうのが騒音だ。道路から聞こえてくる、イエローキャブのクラクション、工事現場に行き来するトラック、耳が張り裂けそうな救急車のサイレン、道で喧嘩する人の怒鳴り声、などなど目白押しだ。外で聞こえてくるのはまだ我慢できるとして、アパートの建物の中から聞こえてくる騒音がこれが、またたまらない。

私は約5年間イーストヴィレッジのアパートに住んでいた。駅から徒歩2分というとても気に入った立地、おしゃれなキャストアイロン、6階建ての5階南側のよく日の当たる場所に住んでいた。ちゃんとエレベーター付きである。最初引っ越した時は、「あ~、これがニューヨーク生活かー」なんて酔いしれていた。最初の1年半はこの夢のようなイーストビレッジライフを満喫していた。隣人も気さくでフレンドリーな人ばかりで、みんなおしゃれてある。

そんなアパートに住んで2年目、隣の住人が引っ越して、新しい住人が入ってきた。赤毛のいい感じの人で、当初、両親とアパートを偵察にきていた。NYUでお医者さんのインターンをしているという。特に何も考えず、いつも笑顔でフレンドリーに挨拶しあっていた。これが夜になると豹変するのだ。だいたい10時頃から彼の好きな音楽が爆音が聞こえてくる。これが延々と朝の2時、時には4時まで続く。この生活がなんと3年半続いた。

ドアをノックし、少し音下げてくれるようお願いしてもすでにその時点では隣人は泥酔しており、音量なんてわかってないようだ。これを何度も繰り返した。音がしてくると、私はもうベッドからでてドアから「音を下げろ」というのが億劫になり、隣の壁を叩きつけていた。時にはこちらのステレオを爆音量で壁側に流し、「これでどうだ」という試みをしたが、一向に効果がない。

私はとうとう寝不足から、自分の有給休暇を使ってまで、自分の睡眠を確保するはめになってしまった。ビルの大家さんに苦情を申し出て、手紙を出してもらったがそれでも収まらなかった。警察にも通報できたのだが、私はちょうどその時コンドミニアムの購入のプロセスも始まっており、できるだけ穏便に済ませたかった。というよりも、さっさと引っ越ししたかった。

結局のところ、夜の爆音はほぼ毎日続き、特に週末になると更に人がたくさん出入りしている。もうこの音で気が狂いそうだった。幸いコンドの購入が決まったので、そこを無事引っ越し、騒音に悩まされることはなくなった。今はまるで赤ちゃんのようにすやすや眠れる快適な毎日を過ごしている。今や騒音といえばパートナーのいびきくらいである。 

NaokoのNY暮らし

NY、マンハッタンでReal Estate Agentとして活躍中。NY生活の発見をお送りします。Instaも見てね。https://www.instagram.com/naoko_ichijima/

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